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インドネシア共和国 アバディLNGプロジェクト(マセラ鉱区)における改定開発計画の提出について

株式会社INPEX

広報・IRユニット

(電話 03-5572-0233)

 

 

 株式会社INPEX(以下、当社)は、当社子会社である株式会社INPEXマセラを通じて操業主体(オペレーター)を務めるインドネシア共和国アラフラ海マセラ鉱区アバディLNGプロジェクト(以下、本プロジェクト)において、現在の開発計画にCCS(Carbon Capture and Storage)を新たに追加する改定開発計画(以下、改定POD)についてインドネシア政府当局(以下、政府当局)と協議を実施して参りましたが、本日ジョイントベンチャー(当社及びSHELL社)を代表して、改定PODを政府当局へ提出いたしましたので、お知らせいたします。

 

 当社は2022年2月に発表した「長期戦略と中期経営計画(INPEX Vision@2022)」において2050年ネットゼロカーボンを目標としておりますが、本プロジェクトにおいてもエネルギートランジション期間における長期的な観点から競争力とサステナビリティを確保し、外部環境の変化にも対応できるクリーンなプロジェクトとするべく政府当局と検討を重ねて参りました。

 その結果、改定PODでは、CCSの導入によりアバディガス田から天然ガスに付随して産出されるCO2の全量を削減できる見通しとなり、今般、その他の事業実施環境も再び整いつつあることから提出に至ったものであります。

 

 インドネシアでは、2023年3月に石油ガス事業におけるCCS/CCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)に関するエネルギー鉱物資源大臣令が制定されたところであり、本プロジェクトはインドネシアにおける石油ガスの上流事業の契約枠組みであるProduction Sharing Contract(生産分与契約)のコスト回収(※)事業として行われる初めてのCCSプロジェクトとなる見込みです。

 

 今後、当社は、政府当局からの改定PODの承認後、その他の事業環境の整備状況を踏まえつつ現地での各種作業等をはじめプロジェクト活動を順次再開し基本設計作業(FEED)が開始できるよう準備を進め、マーケティングやファイナンスなどその他必要な準備作業も経た上で、INPEX Vision@2022に従い、2020年代後半にFID(最終投資決定)、2030年代初頭での生産開始を目標としてプロジェクトを進めて参ります。

 

 本プロジェクトは、当社が豪州で生産・操業を行うイクシスLNGプロジェクトに続く当社オペレーターの大型天然ガス開発プロジェクトとなります。LNG生産量は年産950万トン規模を想定し、その量は日本の年間LNG輸入量の1割強に相当します。アバディガス田は、世界有数の良好なガス田性状および豊富な埋蔵量を有するため効率的な開発が可能であることに加え、CO2排出量を削減するCCSを取り入れることで長期にわたるクリーンなエネルギーの安定供給が可能となります。当社は、インドネシア並びに日本をはじめアジア諸国に向けたエネルギーセキュリティの向上にも貢献するLNGプロジェクトを目指して参ります。

 

 また、本プロジェクトによりインドネシア、特に発展が求められるインドネシア東部の経済発展に大きく寄与すると同時に、CCSの導入によりインドネシア政府が掲げる2060年までのCO2排出量ネットゼロにも貢献することが期待されます。

 

 なお、本件による当社連結業績への影響はありません。

 

以 上

 

(※) Production Sharing Contract(生産分与契約)のコスト回収:

石油・天然ガス開発会社が、コントラクターとして、産油国政府から探鉱・開発のための作業を自身のコスト負担で請負い、コストの回収分及び報酬を生産物で受け取ることを内容とする契約です。石油・天然ガスの生産に至った場合、コントラクターは負担した探鉱・開発コストを生産物(原油・ガス)の一部より回収し(コスト回収)、さらに残余の生産物については、一定の配分比率に応じて産油国とコントラクターの間で配分します。

インドネシアの石油・天然ガスの開発、生産では、この生産物分与契約も使用されていますが、コスト回収の対象については政府の承認が必要であり、このコスト回収の対象が拡大すると、コントラクター側はキャッシュフローの改善、経済性の向上につながります。

 

 

【参考情報】

<アバディLNGプロジェクトの概要>

 鉱区

 インドネシア共和国 マセラ鉱区

 契約期限 

 2055年11月15日

 鉱区面積

 約2,503平方キロメートル

 水深

 400 - 800メートル

 鉱区位置

 マルク州サムラキ市沖合約150キロメートル

 生産規模

 天然ガス総生産量(LNG換算)年産1,050万トン

- LNG年産950万トン規模

- 鉱区周辺地域の現地需要向けにパイプラインガス供給を予定

コンデンセート日量最大約3.5万バレル規模

 権益比率

 INPEXマセラ:65%

 SHELL社:35%

 その他

 2017年6月にインドネシア政府からNational Strategic Projectに、さらに9月にはPriority Infrastructure Projectに認定

 

<鉱区位置図>

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