地下深くに眠る天然ガス、
そのありかを探しだす。
ガスをふくむ岩石のけんび鏡写真
天然ガスは、地下深くのかたい岩石の中にひそんでいます。それも岩の中の大きな洞くつにたまっているのではありません。1ミリにもみたない、小さな、小さな石の粒のすき間に入っているのです(下右の写真の青い部分にガスが入っています)。
ガスが地下でたまっているようす
(ガス田の断面図)
地下深くには、どこにでも天然ガスがあるのでしょうか?
実は特別な場所にだけ天然ガスがたまることがわかっています。天然ガスは軽いので岩石のすき間の中を上へ上へと動く性質があります。このガスの流れをせき止める役目をするち密な岩石の層があって、さらにそれが「逆さにした巨大なお鍋」のような形をしていると、その下に天然ガスはたまりやすくなります。
それでは、天然ガスはどうやって見つけるのでしょうか?
天然ガスが入っている岩石は、その昔、海や湖の底で砂や泥が重なってたまり、それが固まったものです。ですから天然ガスを探すには、「どんな岩石が地下にあるか」、「その岩石の層は地下でどんな形をしているか」を調べることが大切です。
地表の岩石のようすを調べます
最初に調べるのは実は地下ではなく、山や谷なのです。平野や海の地下深くに眠っている岩石の層は、ふつう数キロメートルから数十キロメートルにわたって広がっています。その一部が地表に顔を出し、山や谷に大きながけを作っていることがあります。このがけの岩石の様々な性質を調べると地下深くのことがよくわかります。
人工衛星からとった地表の画像
また、人工衛星を使って岩石を調べることもできます。人工衛星にのせた特別のカメラで地表の写真をとり、コンピューターを使って岩石の性質がはっきりわかるような画像にします。こうすると、どんな岩石がどこにあるかが一目りょう然ですね。
機械を使って地下に小さな振動を
送ります(物理探鉱の作業)
岩石の「かたさ」や「密度」などいろいろな物理学的な性質を利用して、地下深くで岩石の層がどんな形をして広がっているのかを調べることができます。それを「物理探鉱」と言います。例えば、人工的に地表から地下に小さな振動を送ると、この振動は地下深くの岩石にぶつかって再び地表にもどってきます。
物理探鉱の結果わかった地下のようす
(物理探鉱記録断面図)
地表に返ってきた弱い振動を大型のコンピューターで計算すると、地下数千メートルの岩石の層のかたちがレントゲン写真のように見えてきます。岩石の層が地下で曲がって山を作ったり、切れたりしているようすがよくわかりますね。
井戸を掘る計画をたてます
このようにして手に入れた、いろいろな調査結果をもとに、天然ガスのありそうな場所を探しだします。ただし、本当に天然ガスがあるかないかは、実際に井戸を掘ってみなければわかりません。
そこでまず、どの場所に、どれくらいの深さの井戸を掘れば良いか計画をたてます。
こうして天然ガスを確認するための井戸を掘ることになります。とは言っても、誰も見ることも、さわることもできない地下数千メートルのことです。最新の科学技術を使っても、天然ガスのありかをピタリと当てるのはとても難しいことなのです。たとえば、最初の9本の井戸で天然ガスを見つけられず、ようやく10本目の井戸で大きなガス田を発見したこともあります。あきらめずにチャレンジする心が大切ですね。