株主の皆さまには、平素より私どもINPEXグループの事業活動についてご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。
経営理念に掲げる通り、私たちが目指しているのは、エネルギーの開発・生産・供給を持続可能な形で実現し、より豊かな社会づくりに貢献することです。
エネルギー業界を取り巻く環境は、近年大きく変化しています。数年前までは、気候変動への対応として脱炭素へのトランジション(移行)をいかに進めていくか、ということが業界における課題の中心でした。しかしロシアのウクライナ侵攻以降、石油・ガス価格の高騰および需給逼迫が生じたことから、エネルギーのセキュリティ(安全保障)とアフォーダビリティ(量的・価格的に安定した供給)の確保が重視され、これらをサステナビリティ、すなわち脱炭素化に向けた環境配慮とのバランスを取りながら同時に解決しなければならない「トリレンマ」の状況が顕在化してきました。
トランジションにおいては、化石燃料の中でも石油や石炭より燃焼時のCO2排出量が少ない天然ガス、特にLNG(液化天然ガス)が重要な役割を果たしていくと見られており、それが産業界の共通認識となっています。
一方、ネットゼロカーボン社会に至る道筋についての認識にも変化が生じています。そのスピードや手法は、国・地域によって異なる事情や状況が反映されるものであり、「多様な道筋」が認められるべきであるという認識が拡がってきました。
これらの変化を踏まえ、私たちINPEXは、まずはLNGを中心とするビジネスをしっかり拡大し、エネルギーの安定供給という責務を果たしていきます。INPEXにとってLNGは、基幹ビジネスである石油・天然ガス事業の柱であり、オーストラリア沖合で2018年に操業を開始した「イクシスLNGプロジェクト」がその屋台骨を支えています。また、次の成長ドライバーとして立ち上げを進めているのが、インドネシアにおける「アバディLNGプロジェクト」で、2030年頃の生産開始を目指しており、LNG需要の拡大に対応した供給を行います。
同時に、石油・天然ガス事業から得た収益をクリーンエネルギーの開発に投じ、エネルギー・トランジションの担い手として、世界の最先端を走る企業を目指してまいります。
長期的な視点でエネルギー供給を支え、持続可能な未来の実現を目指しつつ、グループ全体の企業価値向上に努めてまいります。
株主の皆さま方におかれましては、今後とも一層のご指導を賜りますようお願い申し上げます。