環境管理及び温室効果ガス排出管理

基本的な考え方

当社は「環境安全方針」に基づき、全社的な環境管理及び温室効果ガス排出管理を推進しています。
当社の事業活動による環境や地域社会への影響を最小限に抑えるために、プロジェクト実施前に必ず環境・社会影響評価を実施しています。プロジェクトの実施中においてはその影響及びリスクをモニタリングし、その結果に基づく環境管理を推進しています。また、2018年度より、当社全体の環境管理活動を取りまとめたコーポレート環境管理計画に基づき、全社的な環境管理を推進しています。また、温室効果ガス排出量管理において、天然ガスはライフサイクルでの温室効果ガス排出量が他の化石燃料に比べて少なく、また、発電用再生可能エネルギーの発電量変動時のバックアップとして優れたエネルギー源として認識されています。この両面から、天然ガスはグローバルな温室効果ガスの削減に貢献できます。

コーポレート環境管理計画

当社の各事業では、継続して事業の環境側面に応じたPDCA サイクルを回し、環境管理を実施しています。2018年度からは操業現場における温室効果ガス排出管理の取組を含む全社の環境分野の取組を統一感のあるものとし、それらを可視化できるように、コーポレート及び各事業で実施している環境管理活動をとりまとめた「コーポレート環境管理計画」を策定し、全社的な環境管理を推進しています。
「コーポレート環境管理計画」では、「環境安全方針」の宣言、及び当社の環境に関する重要課題である「気候変動対応」「生物多様性の保全」「水資源の管理」に対処するために、5つのコーポレート環境目標を設定し、これらの環境目標の達成に向け取り組んでいます。2019年度には、コーポレート環境目標を推進するために10項目の環境KPI を設定し、2020年度からその効果測定を開始しました。

環境目標1 事業活動の低炭素化
環境目標2 環境汚染の防止
環境目標3 廃棄物の適正処分、リサイクルの推進
環境目標4 生物多様性の保全
環境目標5 水資源の有効利用

2021年度もコーポレート環境管理計画の着実な実施、実施結果のレビュー、計画の見直しというPDCAサイクルを回すことにより、 全社的な環境管理を更に推進します。

環境管理ワーキンググループ及びHSEフォーラム(環境セッション)

当社の国内及び海外プロジェクトの環境マネージャー並びに環境実務担当者で構成される「環境管理ワーキンググループ」の会議を2020年2月、5月、9月及び12月に開催、また2020年9月にはHSEフォーラムの一環として環境セッションを開催しました。2020年度の環境管理ワーキンググループでは、主に以下の事項について議論しました。

  • 第三期コーポレートHSE 中期計画の評価
  • 修正第三期コーポレートHSE 中期計画の環境関連取組策定の検討
  • 環境KPIの効果測定の進捗確認

HSEフォーラムの環境セッションは、Teamsを利用しオンラインで開催しました。修正第三期コーポレートHSE 中期計画の環境関連取組策定の最終的な討議の機会を設け、同計画の主要テーマとして設定した①温室効果ガス排出削減管理、②生物多様性保全の強化、③水リスク管理の強化、及び④社会影響管理の推進について、国内・海外プロジェクトの操業担当者や環境管理の取組を担当する環境マネージャー及び環境担当者と2日間にわたり討議しました。
今後もこれらの機会を通じて、国内・海外における環境管理の良い取組の共有、並びに環境に関する課題を多面的に議論する機会を持ち、全社的な環境管理の推進に努めます。

事業活動の低炭素化

温室効果ガス排出削減の取組

2020年度(1~12月)の当社オペレーショナルコントロール※1の温室効果ガス排出量は、約77百万トン-CO2eとなり、2019年(1~12月)と比較すると約12百万トン-CO2e 減少しました。2018年7月に生産を開始したイクシスLNGプロジェクトが、2019年度より通年操業となりました。スタートアップの進捗によりガス処理プロセスの途中で生じる低圧ガスのフレアの減少が主な要因です。
各事業場の温室効果ガス排出量の集計、分析及び報告に関しては「HSEデータ管理要領」に基づき定期的に実施しています。国内の環境データ及び国内・海外の温室効果ガス排出量に対しては報告内容の信頼性確保のために第三者保証を受けています。 
当社の各事業では、各事業場の状況に応じて温室効果ガス排出量削減のための省エネ活動の実施、通常操業時の継続的なフレア・ベントの回避、メタン逸散量の把握等の取組を実施しています。
フレア削減に関しては、2020年度に各事業場の操業時のフレアの現状を把握し、通常操業時の継続的なフレアを特定しました。今後は通常操業時の継続的なフレアをゼロにするための対策の検討を進めていきます。
メタン逸散量に関しては、国際的な手法に基づく集計・報告を2018年度から開始しました。2019年度には国内事業場において、設備・機器からの逸散の点検を実施し、集計・報告体制を確立しました。2020年度にはレーザーメタン検知器を利用し、ほぼ全対象箇所において点検を実施しました。逸散が確認された箇所は直ちに対策を行いました。今後は海外の事業場においても同様の取組を実施するなど、継続的に改善を進めていきます。
イクシスLNGプロジェクトのメタン排出管理については以下の取組を実施しています。

  • メタン逸散を回避、最小化し得る設備・装置の選定
  • 設備・機器からの逸散の定期的な点検
  • 設備から生じるベントガスの回収・再利用
  • 通常操業時のゼロフレア※2

また、国内では、日本経済団体連合会が主体的に行っている「低炭素社会実行計画」に石油鉱業連盟を通じて参加しています。

  1. ※1オペレーショナルコントロール
    本社、技術研究所、海外事務所、国内及び海外のオペレーション事業体(当社がオペレーターとして操業を行う拠点)を対象範囲とする
  2. ※2フレア
    原油採掘施設、ガス処理施設などで発生する余剰の炭化水素ガスをそのまま放散せずに、焼却無害化すること

環境汚染の防止

当社では、現地国の環境に関する法規制を遵守することはもちろんのこと、各事業の環境側面から想定される環境リスクを特定・評価し、自主的な環境対策を講じ、対策の効果を監視・測定しています。事業ごとの環境管理の取組を実施することにより、環境汚染の防止に努めています。

環境法令の遵守

当社は、操業している各国の法令に基づいて事業活動を推進しています。国内外で事業を行う際は、当社の「HSE 法的要求事項等管理要領」に基づき、当社事業が遵守しなければならない法的要求事項を一覧表に取りまとめ、遵守義務を明確化しています。国内プロジェクトでは、事業場ごとに法的要求事項の一覧表を作成し、毎年定期的に法令の新規施行や改廃等を反映し、法的要求事項の遵守状況の確認を実施しています。また2020年度には、HSE 法的要求事項等管理に関する会合をコーポレートの事業本部担当者とも複数回にわたり開催し、HSE 法的要求事項への取組の現状把握と今後の対応について議論しました。
加えて2019年度から、常に最新の法規制情報を確認・提供し、HSE 法規制コンプライアンスの包括的なサポートを行うEnhesa 社と契約し、事業場の法規制の遵守状況の管理に利用しています。今後は、各事業場で管理している法規制の遵守状況を本社HSEユニットとして監督していく仕組みの構築を進めていきます。なお、2020年度も重大な環境法令違反は生じていません。

大気汚染の防止

当社では、大気汚染物質のうち、NOx、SOx、VOC(揮発性有機化合物)について国内外の各事業における大気への排出量を把握、管理し、これらの物質による大気汚染を低減させるべく、操業国の法令遵守はもちろんのこと、国際的な規制動向も注視しながら事業活動を推進しています。
国内プロジェクトでは、操業処理プロセス、燃料の燃焼設備、天然ガスの放散、原油貯蔵タンク、タンクローリー車及びタンカーによる出荷作業など大気排出の発生源を特定し、排出量を把握して管理しています。化学物質についてはPRTR 法※3に従って排出量を測定し国へ届け出ています。またベンゼンについては、事業場の敷地境界においてモニタリングを実施し、 周辺環境に影響のないことを確認しています。
2020年度の当社全体のVOC 排出量は5,822トンであり、前年度の排出量から約30% 減少しました。減少の要因は、イクシスLNGプロジェクトの操業の進捗によりVOC 成分を多く含むベント及びフレア放散が減少したことによるものです。また、2020年度のNOx 排出量は2,989トンであり、前年度に比べて約16% 減少しました。SOx 排出量は1,593トンとなり、 前年度から約280% の増加となりました。増加の要因は、2019年度よりイクシスLNGプロジェクトの酸性ガス除去装置から排出される処理ガス焼却設備の稼働率が向上したこと、及び米国テキサス州イーグルフォードシェールプロジェクトの温室効果ガス排出量以外の環境データが2020年度より計上されたことによるものです。

  1. ※3PRTR法
    化学物質排出把握管理促進法(Pollutant Release and Transfer Register Law)

廃棄物の適正処分、リサイクルの推進

廃棄物の管理に当たり、発生抑制(リデュース)、再利用(リユース)、再資源化(リサイクル)という3Rを徹底することにより、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできるだけ低減させるよう努めています。当社の事業活動に伴って廃棄物が生じ、自社での再利用が難しい場合は、産業廃棄物処理の専門業者に委託し、適正に処理しています。海外プロジェクトでは、着工前に法的要求事項、リスク管理、監査の実施などを取り入れた廃棄物管理計画を作成した上で、廃棄物管理を行っています。国内プロジェクトでは、委託した廃棄物が適切に処理されていることを確認するため、年1回、委託業者施設の実地訪問を行い、廃棄物処理状況を定期的にモニタリングしています。2020年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で業者施設へ実地訪問することに制約を受けましたが、その際は電話などリモートでインタビューを中心としたオフサイト・モニタリングを行いました。
2020年度は、当社全体で約10,400トンの廃棄物が発生しました。国内で発生した約2,600トンの廃棄物のうち約半分の1,250トンはリサイクルされています。海外で約7,700トン廃棄物が増加しましたが、イーグルフォードプロジェクトにおいて生じた廃棄物が2020年度より計上されたことによるものです。これらは坑井掘削時に生じる非有害な掘り屑です。
本社赤坂事務所で働く全従業員に対し、廃棄物の削減及び廃棄物に関する啓発活動を進めるため2019年度より開始した「赤坂ECO Office」活動においては、廃棄物量の推移を共有し、またレジ袋削減の啓発を図るためにエコバッグを製作し配布しました。

生物多様性の保全

当社の事業による生態系や生物多様性への影響の度合いは、事業のフェーズ、規模、及び立地環境により異なることから、求められる生物多様性保全も異なります。当社は、事業における生物多様性の「リスク」と「機会」を特定し、生物多様性保全に取り組んでいます。
新規に開発するプロジェクトにおいては、事業活動による生物多様性への影響を環境・社会アセスメントのプロセスを通じて評価し、生物多様性への負の影響の低減策を策定、実行することをコーポレート環境目標として定めています。一方、長年にわたり操業しており、現在まで生物多様性に関する問題が生じていない既存プロジェクトでは、生物多様性への正の影響を創出する取組を検討し、実行することを同じくコーポレート環境管理目標として定めています。
2019年度には、当社が操業する国内外の各事業で取り組んでいる生物多様性保全に関する主な活動、当社の課題及び今後の展望などについて取りまとめた報告書を作成し社内に共有しました。2021年度の計画において、コーポレートの生物多様性の保全に関する方針、コミットメントの策定検討を進めます。なお、報告書は社外への公開を行う準備を進めています。
また当社は、IPIECAとIOGPの協働イニシアティブである生物多様性及び生態系サービス※4ワーキンググループに2014年度から参加しており、生物多様性及び生態系サービスに関する業界の取組やグッドプラクティスを把握するよう努めています。

  1. ※4生態系サービス
    人類が生態系から得られる恵みのこと。例えば、淡水、木材、気候の調整、自然災害からの防護、土壌侵食の抑制、レクリエーションの場等が含まれる

海外における生物多様性保全の取組

新規開発となる海外プロジェクトでは、環境脆弱域(マングローブ、珊瑚礁、湿地等)や絶滅危惧種の重要な生息地への負の影響、外来生物種の侵入による生物多様性への負の影響等のリスクがあります。当社では、環境・社会影響評価において、ミティゲーション・ヒエラルキー※5に基づき、負の影響の回避・低減・復元・代償策を策定し、実行しています。
イクシスLNGプロジェクトが立地するダーウィン湾の沿岸部には、マングローブ林が形成されており、魚類の繁殖エリアやウミガメの採餌エリアとなっています。イクシスLNGプロジェクトでは、この豊かな生物多様性を保全するため、ダーウィン湾における排水水質、海水水質、マングローブの生育状況、自然植生等の包括的なモニタリングを操業開始後も実施しています。また、北部準州によるジュゴンの生息調査に資金援助するなど、周辺の生物多様性保全にも貢献しています。

  1. ※5ミティゲーション・ヒエラルキー
    開発によって生じる生態系への影響を回避、最小化した上で、それでも残る影響を補償するために代替措置を講じるという優先順位

イクシス陸上ガス処理液化プラント桟橋付近の外来生物のモニタリング

外来生物は、世界各地から来航するLNG 船に付着、あるいはバラスト水を経由することにより、ダーウィン湾内に侵入し、陸上ガス処理液化プラント周辺の海洋環境や生態系に悪影響を及ぼす恐れがあります。そこでプラントのHSE 環境チームは、船舶が着桟する桟橋において外来生物のモニタリングを毎月実施しています。2020年12月末時点で、外来種が桟橋付近に持ち込まれたという報告はありません。

外来種観察用キット:海中に吊り下げたもの
外来種観察用キット:引き揚げたもの

このほかにアバディLNGプロジェクトでは、現地法制度及びIFC Performance Standardsに準じ、生物多様性や生態系サービスを含む環境・社会影響評価を実施しています。

国内における生物多様性保全の取組

長年にわたり操業している国内プロジェクトでは、事業活動における取組のほか、プロジェクト周辺の生物多様性保全に資する活動に積極的に関与しています。

直江津LNG基地では、事業活動における生物多様性保全の取組として、以下を実施しています。

  • 海水の取放水温度の常時監視
  • 冷排水の水質の常時監視
  • 直江津LNG基地海洋調査

直江津LNG基地の供用開始後の冷排水放水に係る環境への影響に関しては、計画時に検討した予測の不確実性が大きいことから、事後調査が実施されました。海洋調査では海域環境の状況を把握するため、海水(水質、水温)及び海生生物(底生生物、プランクトン、魚卵・稚魚、潮間帯生物等)のモニタリングを四季(春・夏・秋・冬)に1回の頻度で実施しました。供用開始1年後(2015~2016年度)に実施した調査と併せて、2018~2019年度に実施した再調査の結果は供用開始前(2012~2013年度)に実施した調査結果と大きな変化がないことを確認しました。

「キツネ平どんぐりの森」生態系簡易調査

長岡鉱場越路原プラントに隣接する新潟県長岡市不動沢では、2010年から新潟県の「森づくりサポートプロジェクト」の一環として、「キツネ平どんぐりの森プロジェクト」を展開しており、年に2回、地域の住民の方々と一緒に森林整備及び植林活動に取り組んでいます。2019年度においては、冬季前にどんぐりの森の生態系の状態を把握するために簡易調査を実施しました。本調査の結果、敷地内で哺乳類が数種類観察され、また上空を含めた敷地周辺において鳥類も複数種類観察されたことから、10年間の植林活動によりどんぐりの森の生態系に改善があったことが確認できました。2020年度は、今後の取組を推進するための情報として活用するため、調査期間を延長して季節ごとの生態系及び種の変化の調査を計画しました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により調査を実施することができなかったため2021年度に計画を延期し実施します。

国内における外来植物種への対応に係る啓発活動

国内事業場周辺では、セイタカアワダチソウを代表とする外来植物種が多く存在しています。コーポレートでは、2019年度に生物多様性保全の取組の一環として、侵略性の高い外来生物に指定されている植物に焦点をあて、外来生物の概要、その駆除方法を記載したポスター及び冊子を製作し、国内の各事業場に配布しました。
また国内では、従業員の生物多様性に関する認識向上のために、以下の取組を実施しました。

  • 外部有識者による生物多様性に関する講義の開催(2019年度)
  • 「環境かわら版」による生物多様性に関する啓発活動
  • 「 生物多様性に関する基礎知識」を社内で作成し、e-learningによる受講を開始(2020年度)

このほかに国内では、周辺の生物多様性保全に資する活動に積極的に関与しています。主な取組として、長岡鉱場近傍の「キツネ平どんぐりの森」で春と秋の年2回、長岡鉱場が主体となって植樹活動を実施するとともに、地元の子どもたちを対象とした自然観察会を開催しています。また、新潟県の柏崎では、里山環境づくりネットワークを通じて、2005年度から柏崎夢の森公園における里山環境整備事業に賛同し、森づくり活動及び希少植物保護活動に参加しています。さらに、直江津LNG 基地では、上越市漁業協同組合主催の「桑取川魚の森づくり活動」に参加しています。国内では、これら以外の事業場においても引き続き保全活動に積極的に関与していきます。(2020年度においては、新型コロナウイルス感染防止のためにこれらの活動のほとんどが中止となりました)

キツネ平どんぐりの森プロジェクト活動の様子
集合写真

プロジェクトサイト周辺の保護区情報の共有

新規プロジェクトの初期段階における検討に資するプロジェクトサイト周辺の保護区に関する情報の提供、並びに既存プロジェクトにおける生物多様性保全の取組検討に資する情報の提供を目的に、UNEP※6とIUCN※7が連携して作成している「保護地域に関する世界データベース(WDPA)」による保護区情報やIUCN レッドリストカテゴリー及びその他のカテゴリーに該当する動物種・植物種の数等の情報を、2019年度から当社のオペレータープロジェクトごとに地図上にまとめています。2020年度もこれらの情報を更新し、社内に共有しました。なお、2020年12月末時点で、上記保護区内での操業はありません。

  1. ※6United Nations Environment Programme
    UNEP(国連環境計画)は、1972年に設立された環境分野における国連の主要な機関
  2. ※7International Union for Conservation of Nature
    IUCN(国際自然保護連合)は、1948年に世界的な協力関係の下設立された、国家、政府機関、非政府機関で構成される国際的な自然保護ネットワーク

水資源の有効利用

水管理は当社における重要課題であるとの認識の下、プロジェクトによる水資源への影響を低減する取組を実施しています。また当社は、 2015年度からIPIECAの水管理に関するワーキンググループに参加し、水管理に関する国際的な動向や石油・天然ガス業界におけるグッドプラクティスを把握するよう努めています。

 

水ストレスの高い地域の特定

当社の操業地域が、水ストレス※8の高い地域に含まれていないかを確認しています。具体的には、WRI※9が開発した水リスクのマッピングツールである「AQUEDUCT」を用いて、当社のオペレータープロジェクトが立地する地域の水リスクを確認しています。2020年12月末時点で、水ストレスの高い地域での操業はありません。

  1. ※8水ストレス
    水需給に関するひっ迫の程度を評価する指標であり、人口1人当たりの利用可能水資源量
  2. ※9世界資源研究所(World Resources Institute)

淡水の効率的な利用

国内プロジェクトでは、主に冷却用として上水、工業用水及び地下水を使用しています。また当社の発電事業や冬季の消雪散水用などにも地下水を使用します。冷却水は循環方式を採用し、また消雪散水設備にはセンサーによる自動発停装置を導入するなど、水使用量の削減に努めています。海外プロジェクトでは、2018年度から操業を開始したイクシスLNGプロジェクトにおいて、2019年度よりLNG 基地内の施設における淡水使用量の実態調査を開始しました。基地での水使用量を削減するためプロセスからの処理廃水、発電施設からの廃水蒸気水等の再利用の可否について費用対効果を勘案した検討を進めています。

海水の利用

イクシスLNGプロジェクトの海上生産施設では冷却水として、直江津LNG基地では気化器における熱交換のために、海水を利用しています。これらの海水は、取水温と排水温の温度差や残留塩素濃度等に関する操業国の法令やIFC EHSガイドライン※10の基準を満たした上で、海域に排水しています。

  1. ※10IFC EHSガイドライン
    国際金融公社(IFC: International Finance Corporation)から発行された、Environmental, Health, and Safety( EHS)に関するガイドライン

産出水の排水の管理

生産操業で生産される随伴水は、地下に還元圧入、又は事業場において排水処理を行った後に排水基準を遵守していることを確認した後、河川・海等の公共用水域に排水しています。排水に当たっては、現地国の排水基準を遵守し、基準がない場合にはIFC EHSガイドラインの基準を適用しています。2020年度は 総随伴水量約180万立方メートルのうち、72%を還元圧入し、残りを河川・海へ排水しました。海外で約100万立方メートル随伴水量が増加しましたが、イーグルフォードプロジェクトにおいて生じた随伴水量(フラクチャリング作業のフローバック水を含む)が2020年度より計上されたことと、イクシスの生産量増加に伴い随伴水量も増加したことによるものです。

産出水処理技術の検討

2015年度から2017年度にかけて、JOGMEC※11の支援の下、千代田化工建設、メタウォーターと共同で、「セラミック膜による随伴水処理技術の小規模実証試験」を秋田鉱場の外旭川プラントにおいて実施しました。
このセラミック膜を用いた随伴水処理技術を確立させたことにより、原油生産時の排水による環境負荷をより一層低減できることが期待されます。2018年度からはJOGMECと共同で事後調査研究を開始し、本技術の商業利用に向けた試験運転を実施しています。2021年3月末までに累計運転時間16,000時間を達成するとともに、随伴水処理設備の建設並びに運転全期間を通し、約5年半無事故無災害を継続しています。

  1. ※11独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
    (Japan Oil, Gas and Metals National Corporation)