INPEX

|INPEXが目指すネットゼロカーボンの世界

現場エンジニアが見据える
エネルギー転換の現在地

現場エンジニアが見据えるエネルギー転換の現在地

写真左から)■赤塚紘己さん ■木佐彩子さん(モデレーター)
■金子創太さん ■村美樹さん

「INPEXが目指すネットゼロカーボンの世界」VOL.2では、実際に水素事業やCCUS[二酸化炭素(CO₂)の回収・有効利用・貯留]事業、カーボンリサイクルといった新分野の事業で活躍する若手社員3人に、フリーアナウンサーの木佐彩子さんが話を聞いた。INPEXの将来を担う彼らの声から、同社が描く未来のエネルギーの形が見えてきた。

化学反応を活用し
エネルギー作り出す

INPEXの今後を担っていく若手の皆さんにお話を伺います。まずはこれまでの経歴と現在の仕事について、教えてください。

私は入社8年目です。地下の石油やガスの動きを分析する流体計算のエンジニアとして入社しましたが、3年前に再生可能エネルギーに関わる仕事をしたいと志願し、現在は再生可能エネルギー・新分野事業本部で中長期的な視点で要素技術の開発に携わっています。例えば天然ガスに含まれるメタンを燃やすとCO₂が発生しますが、そのCO₂をメタンに戻す「メタネーション」や、太陽光エネルギーを使って水から水素を作る「人工光合成」の技術開発です。

ニュースで聞くような最先端の技術ですね。再生可能エネルギーに関わりたいと自ら手を挙げたのはなぜですか。

いずれ関われればと思っていたものの、世の中の流れが思っていたよりも速かったので、挑戦してみようと考えました。また、これまでは採取した石油やガスをそのまま燃やしてエネルギーとして利用していましたが、これからは水素やアンモニア等のエネルギーを化学反応を使って取り出す時代が来る気がして、自分の化学系のバックグラウンドが生かせると思ったからです。

■赤塚紘己さん/再生可能エネルギー・新分野事業本部、再生可能エネルギーユニット再生可能エネルギーグループ(2014年入社)

■赤塚紘己さん/再生可能エネルギー・新分野事業本部、再生可能エネルギーユニット再生可能エネルギーグループ(2014年入社)

「技術開発だけでなく、管理業務を経験したことで総合的に見る癖がついた」(写真奥が赤塚さん)

「技術開発だけでなく、管理業務を経験したことで総合的に見る癖がついた」(写真奥が赤塚さん)

新潟で水素・CCUS実証実験
クリーンな水素作る

私は入社3年目で、生産施設のエンジニアとしてLNGプロジェクトの技術検討業務に携わってきました。今年3月に、「ネットゼロカーボン社会」の実現に向けて、水素・CCUS事業を推進すべく新たに発足した水素・CCUS事業開発室に異動したばかりです。現在、新潟県での水素製造、CCUSの実証試験に向けた技術検討作業を進めています。天然ガスを水素とCO₂に分解し、水素は発電などに利用、CO₂は安全に地下に還元することでクリーンな水素「ブルー水素」を製造する、という取り組みです。

CO₂を地下に還元する、とはどういうことでしょう。

水素を作る過程で出てきたCO₂を大気中には放出せず、回収して地下に戻して固定化することで、クリーンな水素にします。この実証試験では、かつて生産していた枯渇ガス田にCO₂を圧入し、ガス田内の圧力を高めることで、取り残していた天然ガスの回収にもCO₂を活用できます。

私は入社7年目で、これまで国内外の石油・天然ガスの生産プロジェクトに携わっていたのですが、今はCO₂を地下に圧入するプロジェクトに関わっています。地下から石油やガスを効率的に取り出す手法や、流体を取り出すことにより周囲へ与える影響を地下流動のシミュレーションによって評価する仕事をしています。

もともとこの分野に興味があったのですか。

小中学校の社会や理科の授業を通して環境問題について意識するようになりました。大学では環境に優しい学問分野は何だろうと考え、石油工学を選択しました。環境問題対策と石油工学は一見矛盾しているようにも感じますが、石油や天然ガスなど従来のエネルギーを研究して利用方法を変えていくことも、環境問題対策への近道になると思います。

■村美樹さん/技術本部 テクニカルサポートユニット 油層・生産グループ(2015年入社)

■村美樹さん/技術本部 テクニカルサポートユニット 油層・生産グループ(2015年入社)

村さんが研修で参加した「イクシスプロジェクト」。日本人一人という環境で刺激を受ける

村さんが研修で参加した「イクシスプロジェクト」。日本人一人という環境で刺激を受ける

鍵となる技術、
自社に蓄える方法を探る

環境に優しいことをしようと10年以上前から思っていたということですよね、すごいですね。新分野では自分で考えて切り開いていくという醍醐味があるのではないでしょうか。仕事でのやりがいや、逆に難しいと思うことを教えてください。

私は2040年ごろの事業化を目指した中長期的な技術開発にも携わっていますが、短中期的な視点との両立が難しいと感じています。再生可能エネルギーである太陽光や風力は既にある意味でコモディティー化しているので、企業として一定の利益を保ちながら事業化するためには単なる発電事業にとどまらず、例えば風力事業や太陽光事業に使われる技術を持つ会社に投資するなど、鍵となる技術を自社に蓄える方法も検討しています。

社内では知見の少ない水素やアンモニアについて、一から勉強する必要があり大変でした。でも、徐々に社内外でこの分野について専門的な説明や議論ができるようになり、手応えを感じています。日々勉強しながら、チームで議論しながら進めている新潟県の実証実験が成功した際には、大きな達成感が得られるのではないかと楽しみです。

私の専門分野ではロールモデルとなる先輩が少なく、キャリアパスも自分で全部考えないといけないのは大変でした。また、国内外のプロジェクトに関わる中で、日本人が一人という現場もありました。政情不安な国から来たハングリー精神にあふれる人も中にはいて、そういう人からは刺激を受けましたね。

■CO₂と水素からメタンを合成するメタネーション施設

■CO₂と水素からメタンを
合成するメタネーション施設

■太陽エネルギーにより水から水素を取り出す人工光合成施設

■太陽エネルギーにより水から
水素を取り出す人工光合成施設

現場を知っているからこそ
想像力が働く

私も現場が大好きです。背負うものが違う人に会うとエネルギーが湧いてきますよね。皆さん新しい分野で挑戦していますが、これまでの経験は今の仕事にどう生きていますか。

前の部署ではアジア・オセアニアのプロジェクト管理業務も担当していたので、契約書や決算書にも目を通していました。本当は純粋な技術者に憧れていたんですが、特定の技術だけではなく総合的に物事を見る「癖」が身に付きました。

それが強みや個性につながりますね。

入社後の研修で24時間稼働しているプラントの見回りや点検補修について学びました。今プラントを一から造る実証実験に携わって、あの時実物のプラントを見たからこそ想像力が働くということがあります。

CO₂を地下貯留する際に、私たちが見えない地下のことを評価できるのは、石油や天然ガスの生産というこれまで地下に携わってきた経験があるからこそだと感じています。地下に関する作業は特に、地域住民の皆さんを含めたステークホルダーの理解が欠かせません。皆さんからご理解いただき安心してもらうためにも、信頼される評価手法と実績が大事だと肝に銘じています。

ネットゼロへの種まきは
30年以上前から

石油や天然ガスの開発会社だったINPEXが時代に合わせてエネルギーの総合開発会社になるという変革をどう感じていますか。

再生可能エネルギーに関わる身として今回の変革に驚きはなかったのですが、変化の速さは本当に実感しています。化石燃料と引き続きうまく付き合ってエネルギーを安定供給しつつ、どうやって「ネットゼロ」に移行するか、取り組まなければならないとても難しい課題です。

私も入社3年目で水素に関わるとは想像していませんでした。ただ、水素事業ではINPEXのこれまでの技術が生きていて今後の強みになり得るので、今推進中の実証試験などを着実に進めたいです。

私も変革のスピードにびっくりしました。ただ、この転換期のための種まきをINPEXは昔からやっていました。例えばCO₂の地下圧入実証実験は1988年に始めています。それが2021年の「今後の事業展開」発表によって一つのストーリーとしてようやく芽が出てきた感じがします。

■金子創太さん/水素・CCUS事業開発室 事業開発グループ(2019年入社)

■金子創太さん/水素・CCUS事業開発室 事業開発グループ(2019年入社)

直江津LNG基地で。現場での研修が今の仕事に生きる(中央が金子さん)

直江津LNG基地で。現場での研修が今の仕事に生きる(中央が金子さん)

■木佐彩子さん/フリーアナウンサー

■木佐彩子さん/フリーアナウンサー

エネルギー転換の
パイオニアとして
成功体験重ねる

INPEXのPはパイオニアのPでもあると聞きました。Innovative Pioneerとして会社が改革を進めているというのは肌で感じますか。

すごく感じます。組織の枠組みが変わって新しい部署もでき、新事業が進めやすい形になっています。あとは社内ベンチャー制度や副業の仕組みも導入されて、より働きやすく、より創造性のある仕事に取り組める環境になってきていると思います。

私の部署では早速「社内副業制度」を利用し、他部署から様々な知見、経験を持つ人が集まり、それぞれの案件に良い効果を生み出しています。

そういう相乗効果には期待したいですね。では最後に、将来を担う若手のエンジニアとして、今後の抱負を聞かせてください。

推進中の実証試験を通して、一つずつ成功体験を重ね、水素・CCUS事業をできるだけ早く商業化することが重要だと考えています。2030年、2050年という少し先の未来だけではなく、もっと近い未来で実現されるような仕事に携わっていきたいです。

自然環境の変化など、変化のスピードが速いと2050年の目標だけではなくて目先の目標も大事ですね。

不確定要素がなくなるまで待つのではなく、走りながら対応する柔軟性が必要だと思います。日本は石油や天然ガスの資源が少なく、再生可能エネルギーを活用するにも工夫が必要です。海外の国・企業ともうまく協力しながら、日本で開発した技術を活用して海外からクリーンなエネルギーを日本に持ってくることに今後も関わっていければと思います。

日本らしい強みが発揮できることがますます期待されますね。

石油などの化石燃料は環境に悪いという負のイメージを持たれてしまっている面があるかと思います。CCUSや水素事業と組み合わせていくと化石燃料からもクリーンなエネルギーを作れることを世の中に広く伝えて、イメージを変えていきたいですね。

エネルギーを使う私たち消費者も、もっと関心を持つ必要がありますね。今日は皆さんの声を伺い、とても頼もしく思いました。INPEXの未来、皆さんの今後の活躍、期待しています。

エネルギー転換のパイオニアとして>成功体験重ねる